大切にしていること
住宅をはじめさまざまな建築の設計をおこなっておりますが、用途や規模に関わらず設計を始める際に大切にしていることがあります。それは「その空間で過ごす時間が豊かである」ことです。建築は、長い時間、人の暮らしに寄り添って存在し続けます。
例えば住宅であれば、建築は家族の生活をより豊かにするためのサポート役であり、主役ではありません。家族の大切なもの、幸せな時間をたくさん詰め込める、宝箱のような存在が理想であると考えています。しかし、その宝箱は不格好で良いとは思いませんし、箱さえ存在していれば良いとも思いません。宝箱の大きさや形状に合わせて、そこに詰めこむものを合わせるというのも違うと思います。宝箱は美しく、上品な佇まいで、使い勝手がよく、オーダーメイドのスーツのようにしっくりと包み込んでくれる。そして時を経ても古びることなく風合いの魅力が増し、むしろ愛着が湧くような存在であって欲しいと思っています。
高断熱・高気密で数値的に性能の高い建物を造ることは、今の技術においてすでに前提条件であり、光と影、風や季節の香り、風景の見え方…そういったものを、建築によって少し秩序づけることで、空間はより心地よくなります。
私たちが設計しているのは、建築家のコンセプトや主義主張を形にした奇抜で独創的な『作品』ではなく、数字で表される性能にのみこだわり、クライアントの要望をパズルのようにただ組み立てた不恰好な『商品』でもありません。
人々の暮らしをまるごと放り込み、愛情をかけて使い(住み)続けていくことで、長い時間の経過とともに成熟していく『宝箱』をクライアントのパートナーとして、造り続けていきたいと思っています。
建築の考え方
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土地の特性を活かすこと
設計を始める際、まず始めに行うのが、計画敷地へ行くこと。
土地の形状、高低差、景色、隣地の建物の状況、太陽、風の流れ・・・
その場所にとって、どのような建築がベストなのか、土地の特徴を読み解くことを大切にしています。 -
構成が美しいこと
様々な条件を整理し、それを美しく明確な構成で図面に落とし込むことを意識しています。
また、構造材などの建築材料には基準の寸法、単位があり、整然と整理された美しい構成は、結果としてコストダウンにも繋がります。 -
ディテールにこだわること
ディテールとは、細部の納まりのことを言います。
大切なのは、不協和音を感じないこと。空間によって、隠すディテールも見せるディテールもあります。試行錯誤を繰り返し、数ミリ単位の調整の集積が、空間の質を決めると考えています。 -
自然の素材を使うこと
予算の許す範囲で、自然素材を使うようにしています。
特に壁や床などの内装材、家具や建具など人が手で触れるものに自然素材を使うことで、体にも心にも優しい空間になります。時間の経過と共に、自然素材は深みが増し、愛着が湧いていきます。 -
居心地がいいこと
緊張感のある、洗練されたお洒落な空間は、非日常においては心を高揚させます。商業施設の内装デザインでは、そのような空間が適切な場合があります。
しかし、日々の暮らしのための空間は、心がほっこりできる場所でありたいと思っています。 -
開口部を大切にすること
外と内を繋ぐ開口部は、太陽の光を取り入れ、風を通し、視線を抜く・・・
とても大切な役割がたくさんあります。
外からの視線、周辺環境との関係性も検討し、内外の要素を慎重につなぎながら、その建築に最適な開口部を設計するよう心がけています。
私のこと
出村 由貴子
- 1985年
- 札幌生まれ
- 2009年
- 北海学園大学工学部建築学科 卒業
- 2006年
- 有限会社山内圭吉建築研究所(インターンシップ含む)
- 2012年
- アトリエアム株式会社(ハウジングオペレーションアーキテクツ株式会社)
- 2015年
- 大東建託株式会社
- 2018年
- 出村建築設計事務所設立
- 2020年
- 札幌科学技術専門学校 非常勤講師
受賞歴
- 2008年度
- 北海学園大学工学部建築学科 卒業設計最優秀作品
- 2008年度
- 日本建築学会北海道支部卒業設計優秀作品 銀賞
- 2009年
- 第34回北の住まい住宅設計コンペ 奨励賞
掲載
- 卒業制作2009
- 近代建築5月号別冊
設計監理料
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新築
総工事費の10%(税別)
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増改築
総工事費の12%(税別)
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店舗、内装デザイン
総工事費の15%(税別)
※設計監理料の最低価格は、新築・増改築200万円(税別)、店舗・内装デザイン50万円(税別)としています。